「地域づくり戦略論」について
平成30年は10月初め 開講
はじめに
本講義は、江頭ホスピタリティ事業振興財団(外食チェーンLOYAL HOSTを運営するロイヤルホールディングスの公益事業部門)からの「寄付講義」として、和歌山大学と田辺市(授業のオプションとして提供される農家民泊や農村ワーキングホリデーなど各種フィールドワーク実践への支援)、そして株式会社秋津野(地域住民主体のコミュニティ・ビジネス)の4者が、まさに産官学地域による連携を通じて「都市農村交流を通じた地域づくり人材の育成」を図ろうとする目的で開講されたもので、日本国内では類例を見ない取り組みの一つです。※地域づくり戦略論は全て秋津野ガルテンで開催されます
-
お問い合せ
- 和歌山大学南紀熊野サテライトまでお願いします。
住所:〒646-0011 和歌山県田辺市新庄町3353-9 Big・U内
電話番号:0739-23-3977 | ファックス:0739-23-3978
何故 今、地域戦略論なのか?
少子高齢化が進展する日本では、都市と農村との格差が拡大し、農村では“限界集落”が増加するなどの問題が起こっています(本講座では、農山漁村を包含する地域概念として「農村」を使用)。しかし、その一方でライフスタイルの変化や食の安全・ホンモノ志向を背景に、食の土台となる第一次産業の営みや農村での暮らしに対する都市住民の関心も高まっています。そして、農村においても、持続可能な自立した地域を目指して、「地域資源の活用」「農工商連携(いわゆる 6 次産業化)」「都市農村交流」などを手掛かりとする様々な取り組みか.進められつつあります。なかでも、ニューツーリズムの一形態であるグリーン・ツーリズムは、リピーター の存在に象徴される反復的滞在を伴って、小規模ながらも質の高い農家と都市住民との交流を特徴としています。交流による「鏡効果(他者の目線を借りた日常生活の中に潜む価値の気づき)」の存在は、農村再生の手法としても大いに注目を集めているところです。ここでいう都市農村交流とは、農村の側が身の丈を超えたサービスを提供することで、都市住民に「農村に来てもらう・魅力を感じてもらう」といった類の媚びた一方通行の関係を指すものではありません。農村での有りのままの各種作業や生活体験を共有することを通じて「もてなしを提供する側と享受する側とが対等・互恵の人間的な関係に立って、相互に喜びを共有する精神(ホスピタリティの精神)」に基づく関係性を築くことです。TPP 参加に象徴される経済効率主義に対峙し、持続的な地域社会を構築する上でも、そのような精神を備えた人材の輩出が都市農村双方に期待されるのではないでしょうか。
以上の問題意識をもとに、本講義では「都市農村交流によるホスピタリティ人材の育成」を実現できるような戦略的な地域再生方策(地域づくり)をテーマに掲げました。